行方不明者届受理件数の推移(1987年~2015年)

警察白書より作成。2010年(H22)までは家出人捜索願と呼称。2011年(H23)の白書から行方不明者届と呼称。

「特異行方不明者」とは、犯罪に巻き込まれたり自殺したりするおそれ等がある行方不明者と定義されているが、ここ20年ほど一貫して増加している点を考慮しても、実態というより、単純に受理した警察側の判断が変わってきた、あるいは届出る側が強く捜索を求めるようになってきた、と判断すべき。
行方不明者発見活動に関する規則第11条で、特異行方不明者かどうかの判断は署長が行うことになっている。
従って、特異行方不明者が増加傾向にあっても、それ自体が行方不明者の実態の変化を示すものと解釈すべきではない。

全体

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男性の割合は1987年頃は5割程度だったが、ほぼ一貫して増加し、2015年には65%にまで上昇している。


男性

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男性の行方不明者届の傾向は、2000年代前半にピークとなった後、民主党政権期にやや下がっているが、第二次安倍政権期に入ってわずかに上昇している、というもの。



女性

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女性の行方不明者届の場合は、2000年代前半に若干のピークを迎えるもののその後は減少傾向となり、全体としても減少傾向にあることが特徴と言える。



限界

あくまでも行方不明者届が出されて受理された件数の統計であり、行方不明者の実態を直接示すものではない。行方不明になっても家族が届を出さない場合、そもそも届を出してくれる家族のいない単身者・無職者の場合はこの統計には表れない。
全体的な増減は景気との関連性で見ると、不景気の時に減少し、好景気の時に増加しているように見えるが、景気との関連性は他の要因も考慮して慎重に行うべきだろう。